光のもとでⅠ
 概要はつかめたものの、激しい動揺をどうすることもできずにいた。
「翠葉お嬢様とご一緒に紫様と涼様がヘリで病院へ向かわれます。病院についたら精密検査を行うとのことでした。会長はお嬢様に付き添っていることになっておりますので、このあとも会場に戻ることはございません。会場は静様と湊様の披露宴へ移行いたします。その間、昇様と栞様、楓様が会長の治療にあたります」
 少しでも冷静さを取り戻すため、俺は大きく息を吸い込んだ。
「母さん……もう少しがんばって。夜の部には出なくていい。けど、午前と午後頭くらいまではがんばって」
「えぇ……そうね」
「午後過ぎには処置も終わってると思う。そしたら医務室に連れて行くから」
「えぇ……」
 とはいえ、血の気が下がっている母さんを立たせるのは危険を伴う。
「御崎さん、車椅子の用意をお願いします」
「かしこまりました」
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