光のもとでⅠ
「では、お嬢さんに訊くとするかの」
 じーさんは彼女に向き直ると俺と同じように首を傾げた。
「司に説教を食らうようなことをしたのかの?」
 彼女の手は、うっ血するほどに力がこめられていた。
 手術前、司に言われた言葉でも思い出しているのだろう。
「ふむ。とりあえず、その説教とやらを聞かせてもらうとするかの?」
 えっ……ここに居座るつもりですか? それは司が嫌がるんじゃないかな?
 案の定、司はじーさんを突っぱねた。
「じーさんには関係ない」
「関係なくとも興味がある」
「その無駄な好奇心、すごく迷惑なんだけど……」
 俺が司でも嫌だと思う……。
 だから、俺はじーさんを連れて退散することにした。
< 9,605 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop