光のもとでⅠ
 さて、お姫様には困っていただきますか……。
「こんなに簡単なら唯や蒼樹でも良かったんじゃないかって思ってる?」
 彼女は否定の言葉を呑み込んだような顔をした。
「正直だね」
 でも、
「そんな顔しないで? 俺は、いつもどんなことに対してでも、正直な、素直な翠葉ちゃんでいてほしいと思っているから」
 何度でも同じことを伝えよう。君が誰を好きでも俺は君が好きだと。
 けど、何度伝えても君はそれを受け入れはしないんだろうね。
 だから、今一歩踏み込むよ。
「翠葉ちゃん、ひとつお願いしてもいいかな?」
「……なんでしょう?」
 おどおどした目で訊かれた。俺は笑顔で答える。
「お茶、淹れてもらえる?」
「え?」
 意表をつかれたって顔がかわいい。
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