光のもとでⅠ
 秋兄の渡米というリミットは刻々と迫っていた。そんな中、俺も覚悟を決めて御園生家に赴いた。
 マンションに着くと、真っ直ぐ九階のゲストルームへ向かう。
 不発に終わるかもしれない。でも、根回しだけはしておくべき。
 これから自分がとる行動により起こり得ることに対して、すべての責任を負う覚悟で――。
 インターホンを鳴らすと唯さんが出た。
「どうしたの、司っち」
「零樹さんと碧さんいらっしゃいますか?」
「いるよ?」
 どうぞ、と言われリビングに通された。
「いらっしゃい。こんな時間にどうしたの? ここにいること親御さん知ってる?」
 零樹さんに声をかけられ、頭を下げる。
 時刻はすでに九時を回っていた。
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