光のもとでⅠ
「私は秋斗くんとは数えるくらいしか話をしたことはないけれど、決して生半可な気持ちで行動する子ではないと思うわ。あとは司くんの直感を信じたほうがいい気がする」
「え……マジ? それは俺たちどうしたらいいのかな……。ま、最悪仕事は国内じゃなくてもできるか……」
「翠には当分帰ってこないと話すつもりです。……極限まで追い詰める一方法として」
「ひど……。でも、仕方ないか。リィ、崖っぷちに立たないと行動に移せない子みたいだし。何か悩みごとがあるときもそう。もう、余裕も何もなくなってどうにもできなくなってからじゃないとSOS出さないんだよね」
 唯さんの言葉に御園生さんが二回続けて頷いた。
「秋兄の仕事用の回線を教えるつもりですが、翠がかけるかはわかりません。また、かけたところで秋兄が出るかも定かじゃない。でも、もし連絡がつかなければ翠は動く……そう信じています。ただ、体調を加味した場合、翠の身体に負担がかかることは避けられないので……」
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