光のもとでⅠ
「たぶん、そろそろだとは思うけど……」
「じゃ、ご飯のあとに内緒話をしよう?」
 唯兄は少し困った人の顔に笑みを添えた。
「……唯兄、私はずるい子なんだよ」
「リィ……?」
 唯兄の顔を見ることができなかった。でも、向き合うと決めた。
 顔を上げて唯兄の目を見る。
「だからね、唯兄のお話を聞いたら私のお話を聞いてね」
「……よくわからないけど、いいよ」
 ごめんね。こんなふうにしか話せなくて。
 ごめんね。先に唯兄のお話しを聞いてから話すなんて言って。
 本当は聞く前にだって言えるの。
 でも、そうしたら、唯兄の話そうとしていることを聞くことができなくなりそうだから……。
 だから、先にお話を聞かせてほしいの。
 ふたり揃ってリビングへ行くと、そこはそこで不思議な雰囲気だった。
 海斗くんがソファで寝ているのはいつものこと。
 でも、最近はよくこっちに帰ってきてるなぁ……。テスト期間でもないのに。
 おうちには帰らなくてもいいのだろうか?
 そして、なんだかおかしなことになっているのはキッチン。
 なぜか司先輩が料理をしていて、栞さんはキッチンの隅でスツールに腰掛けていた。
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