光のもとでⅠ
 秋兄だけじゃない。俺だって現況をどうにかしたいと思ってる。
 もし、自分が秋兄と同じ行動に出ていたとしたら、翠が動くことを望む。強く願う。
 でも、けしかけない限り翠は動かない。だから、こんな方法しか取れない――。
「翠は自分から動かないな……」
「え……?」
「何があっても自分からは動かないだろ? ……つながらないだろ?」
 翠が握りしめる携帯に視線を注いで言うと、一瞬にして緊張したのがわかった。
「それとも、つながらないことを不思議にも思っていなかったとか? 翠ならありえるな」
 翠は何も言えずに俺を見ていた。
「仕事が忙しくて出られないとでも思っているならずいぶんとおめでたいやつだと言ってやる」
 瞬きも忘れて俺を見る翠に見舞う。仕留めるような言葉を。
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