光のもとでⅠ
「だからって……」
「見守るだけが、教えるだけが優しさじゃない。気づかせることが必要なときもある。たとえ傷を負うことになったとしても」
「……俺、バカを同時にふたり扱うとか、そんな器用な人間じゃないんだけど……。バカはひとりで間に合ってる。……とりあえず、共犯になってもらうから」
「は?」
「秋兄……携帯解約して渡米して、しばらく帰ってこないつもりだろ?」
鋭い目が俺を捕らえていた。
「そんなわけは……。秋斗様は二週間でお戻りのご予定ですよ」
運転席から慌てた様子で蔵元が口を挟む。
「蔵元さん、秋兄について何年ですか?」
「五年になります」
「自分、十七年の付き合いですが、この人、アメリカに行ったらしばらく帰ってきませんよ。短くて半年。長ければ一年。もしくは、翠が動くまで……」
「見守るだけが、教えるだけが優しさじゃない。気づかせることが必要なときもある。たとえ傷を負うことになったとしても」
「……俺、バカを同時にふたり扱うとか、そんな器用な人間じゃないんだけど……。バカはひとりで間に合ってる。……とりあえず、共犯になってもらうから」
「は?」
「秋兄……携帯解約して渡米して、しばらく帰ってこないつもりだろ?」
鋭い目が俺を捕らえていた。
「そんなわけは……。秋斗様は二週間でお戻りのご予定ですよ」
運転席から慌てた様子で蔵元が口を挟む。
「蔵元さん、秋兄について何年ですか?」
「五年になります」
「自分、十七年の付き合いですが、この人、アメリカに行ったらしばらく帰ってきませんよ。短くて半年。長ければ一年。もしくは、翠が動くまで……」