光のもとでⅠ
 この際、彼女の気持ちを救えるならそれで良かったんだ。でも、司はそれで良しとはしないらしい。
「司の考える勝算はどのくらい?」
「……十」
「くっ……じゃ、俺は来ないほうに賭けるよ」
 司に負けたと思った。なんていうか、惨敗……。
 彼女が司を好きだからじゃない。気持ちの面で負けた。
 俺は、彼女が動くなんて思いもしなかった。望みはしたけれど、信じてはあげられなかった。
 いつか、時間が優しく彼女を誘導してくれると、自分ではないほかのもの頼みだった。
「負けた……」
 本音を漏らすと、
「まだ翠が動くとは決まってない。そういう言葉は結果が出てから言え」
 容赦の欠片もない言葉を返され、またしても車内は無言に満ちた。
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