光のもとでⅠ
「翠、あと三分だけど?」
「あっ、はいっ。あとドレッシング作るだけだから大丈夫です」
「大丈夫禁止……」
「三分以内に作り終えます……」
 もう、なんだかなぁ……。
 唯兄はクスクス笑ってるし……。
「なんかさ、司くんて秋斗さんに少し似てるよね?」
「「はっ!?」」
 私と先輩の声がかぶった。
「俺さ、藤宮警備に入って最初の三ヶ月で秋斗さんに仕込まれたんだけど、そのときに『んなこと無理ですっ』っていうと、『無理禁止』って言われてた。挙句には『無理って言ったらペナルティ』とか言い出すから本当にひどいんだ」
 ペナルティ……。それ、私も言われたことあります……。
「性格というか、雰囲気は全然違うのに」
 と、私が口にすると、
「あぁ、だって秋斗さんは基本女の子には笑顔だからね。男にはそうでもないよ? 容赦なく言葉が飛んでくる。ま、笑顔で言われても怖いもんは怖いんだけど」
 司先輩を真ん中に挟んで会話していると、凍えそうなオーラをひしひしと感じたので黙ることにした。
 ドレッシングを作り終わり、お皿の準備をしようとしたら、
「あとは俺がやる。翠はあっちで座ってろ」
 と、キッチンから追い出された。
< 966 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop