光のもとでⅠ
 家族で一番図体のでかい父さんが、苦笑を貼り付け胸を押さえ、びくびくしているのだからなんとも言えない。
「もう、しょうがないなぁ……。甘味処唯芹亭発動しますか……。確か白玉粉と小豆があったはずだから白玉ぜんざい作りますよ。飲み物は? 日本茶? それともコーヒー?」
 三人揃って日本茶を所望し、唯はキッチンへと入っていった。
 それから三十分もすると、深皿に白玉ぜんざいを入れて持ってくる。
「ビバ圧力鍋! 小豆さんだって芯もなくホクホクの出来上がり。甘さ控え目だからあんちゃんでも食えるよ」
 言いながら、みんなの前に皿とスプーンを置く。
 少し前に夕飯を食べたばかりなのに、俺たちは唯が作ったぜんざいをペロリと平らげた。
 あたたかい緑茶を飲みながら、
「甘いもの食べて、緑茶を飲むとなんだか落ち着くわね……」
 母さんの言葉に深く共感。
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