光のもとでⅠ
「あれ? リィ、どうした? そろそろ就寝時間っしょ?」
 なんて、なんでもないふうに話せるんだから役者になれると思う。でも、少し悔しいから狸で十分。
「うん、いいよ。――了解。じゃ、スカイプ立ち上げて待ってて。俺、あんちゃん呼んでくるから」
 唯に電話があったにもかかわらず、俺にも用があるらしい。
 それにしても納得がいかない。なんで電話をかける相手が唯かな……。
 今まで自分のポジションだった場所に唯が抜擢された気分で、ちょっと面白くない。
 唯には感謝してるし、翠葉も救われてる。でも、なんだかやっぱり面白くない。
「あんちゃん、正直すぎ……。顔に書いてあるよ、面白くないって」
「……実に面白くない」
「くくっ。俺、ちゃんと兄貴できてっかな?」
「できてるんじゃない? 一番に電話をもらえるくらいには」
 棘だらけの答えを返し、唯の部屋へ向かった。
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