光のもとでⅠ
 イヤホンマイクをセットして準備が整うと、唯が翠葉を呼び出す。通信はすぐにつながった。
「で? 話って何?」
 翠葉はまるで息継ぎでもするように空気を吸いこみ、一気に話しだした。
 俺たちは話に沿った返答を続ける。
 なんだか、通るルートが決まっている人生ゲームをしている気分。その都度サイコロに表示される目を数えてマスを進む。
 途中、翠葉の様子がおかしくなり、
「リィ?」
「翠葉?」
 声をかけると、
『な、んでも、ない……。ちょっとお水飲んでくる。待ってて』
 翠葉は席を外した。
「……現時点で体調悪そうじゃない? これってセーフ? アウト?」
 唯に訊かれて口を噤む。
 どうしてあげたらいいのかわからない。
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