光のもとでⅠ
 体調のことを考えれば止めるのが正しい。でも、それじゃ翠葉の心は救われない。
 身体あっての心だけれども、心あっての身体だとも思う。
 どうしたら――。
 再度ディスプレイに翠葉が映りこむ。けれど、
「顔色悪いけど……」
 やっぱり命には代えられないからあえて口にした。
『お水飲んだら治まった。それに、顔色も悪くもなるよ。だって、もうずっと秋斗さんと連絡がつかないんだもの』
 ザックリごまかされたと思った。口を挟もうかと思ったけど、翠葉は追随を許さない。
 俺が口を開くと同時に話し始めた。
『ふたりにお願いがあるの。私、どうしても秋斗さんと話がしたい』
 これはいよいよもって空港に行きたいと言いだすんじゃ……。
 司の用意したシナリオを進みだす会話に、心臓がバクバクといい始める。
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