光のもとでⅠ
 しばらくすると、姫さんが乗り込んできた。
 やってきたとか尋ねてきたとかそんな穏やかな訪問じゃない。まるで嵐の来訪だ。
 部屋の脇に置いてあった心電図とエコーを使ってすぐに検査を始める。
 俺は部屋の片隅でそれを見ていた。
 俺が初めて見たときは医大生だったが、今は立派に医者してんだな……。
「先生、これは心臓じゃないと思う」
 スイハがサクリと地雷を踏んだ。
「何言ってんのよ、心臓に決まってるでしょ!?」
「そうじゃなくて……ストレス。心因性で起きているものだと思う」
「あんたはっ、ストレスが心臓に悪いって何度言ったらわかるのっ」
「私が招いたことなの。だから、自分で解決しなくちゃいけない……。心臓にこれ以上負担をかけないためにも、胃に負担をかけないためにも……。だから――先生、外出許可をください」
「あんた、自分が何言ってるのかわかってんのっ? こんな不整脈を頻発している状態で――」
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