光のもとでⅠ
「うーん……少し、おかしいと思いました」
 答えると、
「それ、実は少しじゃなくてかなり変だと思ったんだろ?」
 言われて苦笑を返す。
「くっ、本当に翠葉って正直者だよな」
 と、海斗くんに笑われた。
 海斗くんはキッチンの中を見やり、
「栞さんは?」
「具合悪くておうちに帰ったの」
 海斗くんは卓上カレンダーに目をやり、
「そっか」
 と、一言口にした。
 その動作が気になったけれど、どこら辺に的を絞って尋ねたらいいのかがわからなくて、結局何を訊くこともできなかった。
 間もなくして、司先輩と唯兄がカレーのプレートを手に戻ってきた。
「海斗、スプーンと取り皿持ってきて」
 司先輩の声に、海斗くんはソファを飛び越えて行く。
 すごいなぁ……。ソファの背をものともせずに飛び越えちゃうなんて……。
「リィ、おうどん伸びちゃうよ」
 唯兄に指摘され、目の前に置かれたおうどんを食べることにした。
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