光のもとでⅠ
「秋斗様、そろそろ……」
 蔵元に搭乗時間を告げられるも、自分の意識はそちらへ向かない。
「予定は余裕を持って組んである。一日出発遅らせても大丈夫だろ」
 すぐに藤倉へ引き返そうと思っていた。すると、
「社会人だろ」
「社会人放棄すんなですよ」
 司と唯、ふたり同時に却下された。
 こういうときだけ、ふたりは意見が合うようだ。
「秋斗先輩、翠葉を心配してくれるのは嬉しいんですけど……やっぱりここは行ったほうがいいと思います。あとで出発を延ばしたと知ったら翠葉が気に病みますから」
 それを言われると強くは言えない。
「病院に戻ったらまた検査だと思います。その結果はメールで送りますから」
「わかった……」
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