光のもとでⅠ
これは悲しむところじゃない。喜ぶところ……。
様々な感情が入り混じった涙が頬を伝う。
「蒼兄……?」
「なんでもない」
自分が泣いてしまったことをなかったことにしたくて翠葉の手を取る。と、
「手、つながれなくても歩けるよ?」
少し心配そうに、翠葉が俺のことを見上げてきた。
「違う、俺がつなぎたいの。今だけ――今だけだから」
「……うん」
まいったな……。
まだ俺の準備は整っていないのに、翠葉のほうが先に準備が整ってしまった。
兄離れの時期はすぐそこまで来ている。
この手が一番に求めるのは俺の手じゃなくなる。
でも今は、今だけは――。
様々な感情が入り混じった涙が頬を伝う。
「蒼兄……?」
「なんでもない」
自分が泣いてしまったことをなかったことにしたくて翠葉の手を取る。と、
「手、つながれなくても歩けるよ?」
少し心配そうに、翠葉が俺のことを見上げてきた。
「違う、俺がつなぎたいの。今だけ――今だけだから」
「……うん」
まいったな……。
まだ俺の準備は整っていないのに、翠葉のほうが先に準備が整ってしまった。
兄離れの時期はすぐそこまで来ている。
この手が一番に求めるのは俺の手じゃなくなる。
でも今は、今だけは――。