光のもとでⅠ
 でも、そのどちらであってもかまわなかった。
 大切なのは、キスをしても拒まれないこと……。翠が俺を求めてくれていること。
 それだけで十分だった。
 翠は「好き」と何度も口にする。
「何度言うつもり……?」
「わからない……」
 俺は言われるたびにキスをした。
 前に考えたことがある。
 気持ちを伝えるための言葉――。
 どうしても「好き」の一言では表せない。「愛してる」もしっくりこない。
 どんな言葉を使えば自分の気持ちを伝えることができるのかがわからない。
 結果、俺はキスをする。
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