光のもとでⅠ
 翠は俺を見て「どうしよう」と言うように眉をひそめる。
 ……それはもう少し一緒にいたいって解釈するけど?
 俺は翠から携帯を取り上げ、
「自分が送るから不要です」
 答えて、異論やからかいの言葉を聞く前に通話を切った。
 携帯を翠に返すと、翠はじっと俺を見ていた。
「何?」
「ううん……ツカサと唯兄っていつもこんな感じだなって思っただけ」
「……これは唯さんが悪いと思うけど?」
 ベンチを立つと、
「手……つないでもいい?」
 何を今さら、と思いつつ翠の手を取る。と、
「待って……」
 翠は手袋を外し、素手になった。
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