光のもとでⅠ
 なんていうか…たぶん、ものすごく根が真面目な人間なんだろうな。
 その真面目な人間は、どうやってこの脚力を手にいれたのだろうか。
「で、その脚のバネの良さは何がゆえ?」
 ずっと訊きたかったことをどさくさに紛れて訊いてみる。 蒼樹は「え?」という顔をして、宙を見て少し考えてから口を開いた。
「バネ……かぁ。今までずっと早朝ランニングしてたからかな?」
 ランニング、ね。 確かにそれを習慣にしてたらいい脚力が育ちそうだ。
「俺の家、幸倉運動公園まで徒歩三分なんだ。だから、中学のときは朝練行く前に十キロくらい走ってた」
「マジで!?」
「うん。今は通学に一時間とられるから無理だけど」
 こいつの持つ瞬発力はすごいと思う。 そういうのも全部テニスで培ってきたものなのか……。
 俺は気づけばそんなことばかりを蒼樹に訊いていた。蒼樹は嫌な顔ひとつせず、それらに答えてくれる。
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