光のもとでⅠ
「変なのが入ってきたな」
 高等部に上がって間もない頃、声をかけてきたのは環だ。
「んー、確かに。環は首位強奪されてプライドズタズタ?」
「やなとこつくね~……」
 苦い笑いを隠しもせず、口元を歪ませては軽く悪態つく。
 環は頭も良ければノリも良く、顔はどちらかといえば中性的でかわいい系。女子の人気もそれなりだ。
 男子の中ではお山の大将的存在だったりするし、中等部では生徒会もやってきた。
 環も今回の生徒会から打診を受けている人間のひとり。俺にも声はかかったけど、ひとつ上の姉の面倒を学校でまで見たくない、という理由からクラス委員に逃げ込んだ。
「もっと嫌みっぽい人間だったらよかったんだけどな」
 ため息混じりにそんなことを言うけど、環は別段困ってるふうではない。
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