光のもとでⅠ
「あいつ、なんであんなに人がいいんだろうな? 実は裏の顔があったりするんかな?」
 環のその言葉にふたり同時に肩を竦めた。
「それはないっしょ」
「そうだな、ないな。何せ救いようのないシスコンバカだしな」
「ホントだよ。あれ、絶対にシスコンバカがネックで彼女ができてもうまくいかないって」
「そのときは、俺たちが奇特な彼女に目一杯同情してあげようじゃないの」
 余計なお世話と言われそうなことを話しつつ、環とふたり苦笑する。
 あそこまでの妹溺愛ぶりを見てしまうと、男として、友人として、真面目に心配せざるを得なくなる……というのが正直なところだ。
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