光のもとでⅠ
「蒼樹、社会人ってすごく面倒くさいよ。本社になんていたら媚び諂ってくる人間多すぎて、まとまった作業時間の確保もできやしない。こっちは部屋に篭って仕事したいのにさ、手を変え品を変えの勢いで人間が出たり入ったりするんだからたまらない。みんな仕事ないの? って訊きたくなるくらい。面倒くさすぎて出てきちゃったよ。システム開発のほか、高等部のセキュリティ管理って役職を兼任する形でね。ここはいいよー。こんなにのびのびと仕事できるんだったらもっと早くに出てくるんだった」
 嘘偽りなく秋斗先輩の言葉。
 その面倒な部分もこなしてこそ社会人と言うのではなかろうか、とは思うものの、通常業務以外の仕事を抱えてでも出てきたかったのだろう、と納得することにした。
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