光のもとでⅠ
 自分が潔癖な人間であれば毛嫌いするタイプなのかもしれない。でも、俺は自分が関与しない部分と割り切って付き合える性質で、とくだん自分の価値観を相手に求めることも相手を否定することもなかった。
 先輩の前にコーヒーを差し出すと、何か思い出したように口を開いた。
「今日さ、俺の従姉弟が来るんだ」
 脈絡のない話にどう答えようか考えていると、
「ひとりは今年高校一年になる。司っていって、それなりに頭のいいやつ。たぶん、俺のもとでバイトすることになると思うよ」
「じゃ、俺も会うことがありそうですね」
「うん。だから今日会っていかない?」
「は?」
「もうそろそろ来ると思うんだけど……」
 秋斗先輩は腕時計を見ながら話を続ける。
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