光のもとでⅠ
「それ、容姿が伴わないとつらい楽器じゃない?」
 楽器に容姿云々関係するのだろうか、と思いつつ、ちょっと自慢をしたくなる。
「いや、それが……うちの妹めちゃくちゃかわいんですよ。それはもう天使か妖精のように」
 割と真面目に、自信ありげに説明したつもり。
 実際、兄の俺が言うのもなんだが、翠葉は本当にかわいい。それはもう、今から将来が楽しみなくらいに。
 次はどんな形容で翠葉を自慢しようか、と思っていると、
「出た出た……。蒼樹は妹ちゃん大好きだからね。司、そのうち嫌でも色々聞かされるよ」
「それにしても……」
 湊さんが部屋の中を見回し、呆れたようにため息をついた。
「相変わらず何もない部屋ねぇ……。少しくらい手を入れればいいのに」
 言いながら、椅子に座りピザを出し始めた。
「んー……そのうちやるよ。あっ、そうだ! 蒼樹のデザイン起用してあげるよ?」
 思いついたことをそのまま振られた気分。
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