光のもとでⅠ
 そこに、普段はめったに聞かない着信音が流れた。
 一瞬戸惑う。
 母、碧の着信音だ。しかも、電話――。
 母さんは電話と言うものをかけてこない。たいていならメールに一言二言容赦ない用件を電波に乗せて飛ばしてくる。
「電話なんてなんか緊急事態でもない限りかけないわよー」
 そう言っていたのはいつのことだったか……。
 とにかく嫌な予感がしていた。
「出ないの?」
 秋斗先輩に声をかけられ我に返る。
「いえ、出ます」
「女だったりして?」
 湊さんがからかいの一言を口にした。
「母です」
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