光のもとでⅠ
 部屋に入るとサイドテーブルにカップを置き、デスクの上に置かれた手提げ袋を枕元に移す。
 枕元は私の大切なものを置く定位置。
 ここ最近だと携帯電話が置いてあることが多い。
 決して携帯に依存しているわけではないと思う。
 どちらかというならば、使う頻度は低い。
 けれど、携帯というアイテムは、いくつか操作をするだけで人とつながることができるアイテムなのだ。
 人とつながることのできるアイテム――それが私にとっていかに大きな心の支えとなっていることか……。
 時に、具合が悪いときはSOSを出すアイテムにも変わる。
 ……本当は携帯だけでいいんだろうな。
 こんなバングルをつけなくても、自分でSOSを発することができればバイタルチェックの必要性はなくなる。
 今なら私は自分から人に助けを求められるだろうか――。
 残念ながら答えはすぐに出なかった。
 そうこうしているとドアがノックされ唯兄がカップを持って入ってくる。
「「緊張してるよね?」」
 顔を合わせたと同時、ふたりが発した言葉だった。
 だって、唯兄の顔がすごく固かったから。
 きっと、私も負けじとそんな顔をしていたのだろう。
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