光のもとでⅠ
 翠葉は俺が思っていたよりもはるかに身体が弱かった。
 今まで何度も貧血を起こしている翠葉を見てきたけれど、そんなに大変なこととは思っていなかった。
 体力がないとか風邪をひきやすいとか、そのくらいにしか思っていなかった。
 熱もしょっちゅう出すし、もともと食も細い。
 年間通しても元気なことのほうが少なくて、どこか悪いんじゃないかとは思っていたけれど、先月の検査入院でとくに悪い検査結果が出なくてほっとした。なのに――。
 人が意識せずに動かせるはずのものがコントロールできないって何……?
 寝てて起きるのにも、座ってて立つのにも気をつけなくちゃいけなくて、ずっと立ってることもできなくて、食後の消化すらが負担になるってどんな?
 少し血圧が下がっただけで死に至る危険があるってなんだよっ。
 そんなの、どうやって生きていったらいんだ。そんなの――たった十五歳の翠葉がどうやって受け止めるって言うんだ……。
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