光のもとでⅠ
「でも、翠葉は生きてるの。がんばっているの。だから、私たちもいつまでもここに立ち止まってはいられない。翠葉が前に進めるように、支えにならなくちゃいけない。一緒に溺れてはだめなの。翠葉を支えるなら、自分が支柱になれるほどしっかりしないとね」
 その言葉はとても重かった。
 一緒に動揺していちゃいけない。一緒にがんばるだけじゃ足りない。
「だから、これはその一歩だ」
 父さんに頭をくしゃりと撫でられた。
 こんなことを俺にするのは父さんくらいなもの。
 俺の身長は百八十センチ。父さんは百八十五センチ。いつも大きいとは思っていたけど、今日ほど大きいと思ったことはなかったかもしれない。
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