光のもとでⅠ
「主治医、誰なの?」
変な角度から突っ込んできたのは湊さん。
「藤宮紫さんという先生です」
「ふーん……じゃ、間違いないんじゃない?」
話に入ってきたのは司くんだった。含みある言い方が気になっていると、
「藤宮紫――循環器内科の権威よ。主に心臓内科や心臓外科に精通している人。心肺蘇生のスペシャリストでもある。その道で知らない人間はいないわ。紫さんが主治医についたなら安心ね」
湊さんの言葉に唖然とした。
あの先生がそんなすごい先生だとは知らなかった。
ふと、視線を感じてそちらを見ると、カウンターに寄りかかった司くんのものだった。
たぶん、この視線は「そのほかの情報はないのか」という視線だろう。
それを口にしないのは、きっと自分から訊きはしない、という意味だ。
本当に感心するよ。この年で場も分もわきまえてるなんてさ。
藤宮という家は、こんなこともこの年でわからなくちゃいけないような環境なのだろうか。
ならば、それに甘えよう。
変な角度から突っ込んできたのは湊さん。
「藤宮紫さんという先生です」
「ふーん……じゃ、間違いないんじゃない?」
話に入ってきたのは司くんだった。含みある言い方が気になっていると、
「藤宮紫――循環器内科の権威よ。主に心臓内科や心臓外科に精通している人。心肺蘇生のスペシャリストでもある。その道で知らない人間はいないわ。紫さんが主治医についたなら安心ね」
湊さんの言葉に唖然とした。
あの先生がそんなすごい先生だとは知らなかった。
ふと、視線を感じてそちらを見ると、カウンターに寄りかかった司くんのものだった。
たぶん、この視線は「そのほかの情報はないのか」という視線だろう。
それを口にしないのは、きっと自分から訊きはしない、という意味だ。
本当に感心するよ。この年で場も分もわきまえてるなんてさ。
藤宮という家は、こんなこともこの年でわからなくちゃいけないような環境なのだろうか。
ならば、それに甘えよう。