光のもとでⅠ
 おかしいな。うちの大学、偏差値はそれなりに高いはずなんだけど。君、確か文学部だったよね? 今の会話で内容も汲み取れないようだと色んな意味で危ないんじゃない?
「申し訳ないんだけど、俺の中では彼女が一番ってわけじゃないんだよね。それに、君は別に俺が好きなわけじゃないでしょう?」
「何言って……」
「君が好きなのは俺の外見とか成績とかそういう部分じゃない? デートのとき、毎回誰かしらに紹介されるの、あれ、まるで自分の持ち物を見せびらかしているような感じですごく気分悪かったよ。普通はさ、好きな人と過ごす時間はふたりで過ごしたいと思ったり、共有する時間を大切に過ごしたいと思うものじゃない? でも、君からはそれを一切感じなかった。そのうえで、自分が一番じゃないって? 冗談だろ? 君の中での一番は俺じゃない。君自身だろ? そんな人になんで自分が一番じゃないのかなんて言われても、筋なんてどこにも通ってないよね?」
「蒼樹くんひどいよっ」
 その場で泣きだした彼女に、自分がさらに引くのを感じていた。
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