光のもとでⅠ
「さすがにフロアハープは持ち込めないからなぁ……」
苦笑しつつ、大きなその手がケースからハープを取り出す。
「先週届いたんだ。蒼樹が毎日チューニングしてた。今朝もチューニングしてから持ってきたんだ。少し弾いてみるか?」
真新しいハープを抱え、弦に指をかけてはっとする。
「お父さん、だめ。ここ、病院。音が鳴るものなんて……」
「翠葉ちゃん、それなら中庭に行くといいよ」
「紫先生……?」
「もちろん、手の空いてる人間が付き添えるときだけだけどね」
「……いいんですか?」
「あぁ、体調がいい日ならかまわないよ」
その言葉はなんてことのないもののはずなのに、私にとっては涙が出るほど嬉しいものだった。
だって、楽器なんて退院するまで手にできないと思っていたから……。
「おや、泣かしてしまったね」
口髭をいじる紫先生が大好き。
苦笑しつつ、大きなその手がケースからハープを取り出す。
「先週届いたんだ。蒼樹が毎日チューニングしてた。今朝もチューニングしてから持ってきたんだ。少し弾いてみるか?」
真新しいハープを抱え、弦に指をかけてはっとする。
「お父さん、だめ。ここ、病院。音が鳴るものなんて……」
「翠葉ちゃん、それなら中庭に行くといいよ」
「紫先生……?」
「もちろん、手の空いてる人間が付き添えるときだけだけどね」
「……いいんですか?」
「あぁ、体調がいい日ならかまわないよ」
その言葉はなんてことのないもののはずなのに、私にとっては涙が出るほど嬉しいものだった。
だって、楽器なんて退院するまで手にできないと思っていたから……。
「おや、泣かしてしまったね」
口髭をいじる紫先生が大好き。