光のもとでⅠ
「翠葉ちゃん、検査室に行く途中にあるロビーで中庭の水が乱反射してるの見るの好きでしょ? それをね、ナースセンターで話してたことがあるのよ。その場に楓先生もいたの」
中庭の水が乱反射――……あ、運動負荷検査に行く途中の中庭のこと?
そこはガラス張りのロビーになっていて、脇には売店がある。こことは違って外に出ることのできない中庭で、屋内から眺めるためだけに作られたスペース。
ガラス張りの向こう側はチャコールグレーと緑の世界。緑は竹、チャコールグレーはツルツルピカピカしている大理石みたいな素材。近代的ともいえる組み合わせの中、大理石が模るのは人口の小川。そこを流れる水がロビーの天井に反射して、ゆらゆら揺れる光を見るのが好きだった。
「あとはね、鈴が入ってると思うんだけど……」
言われて紙袋を覗き込むと小さな鈴が入っていた。それは直径一センチほどの大きさで、淡いピンク色のリボンに通された銀の鈴。
リボンをつまんで揺らすとチリンチリンと涼やかなかわいらしい音がした。
中庭の水が乱反射――……あ、運動負荷検査に行く途中の中庭のこと?
そこはガラス張りのロビーになっていて、脇には売店がある。こことは違って外に出ることのできない中庭で、屋内から眺めるためだけに作られたスペース。
ガラス張りの向こう側はチャコールグレーと緑の世界。緑は竹、チャコールグレーはツルツルピカピカしている大理石みたいな素材。近代的ともいえる組み合わせの中、大理石が模るのは人口の小川。そこを流れる水がロビーの天井に反射して、ゆらゆら揺れる光を見るのが好きだった。
「あとはね、鈴が入ってると思うんだけど……」
言われて紙袋を覗き込むと小さな鈴が入っていた。それは直径一センチほどの大きさで、淡いピンク色のリボンに通された銀の鈴。
リボンをつまんで揺らすとチリンチリンと涼やかなかわいらしい音がした。