光のもとでⅠ
 結果的にはそれも却下されたわけだけど。
 以前、高等部で同じようなことをしてうまくいかなかった例があるらしい。今現在、高等部ではロッカーのみ施錠可になっている。
 それは施錠したい人のみが施錠できるという申請式のものだけど、司はしっかりと申請をした。俺は申請してないけどロッカーがチョコでいっぱいなんて美味しい出来事はない。
 ロッカーがだめなら下駄箱、机、かばん……。人伝手というのもあるけれど、それらは一度も受け取られたことがない。
 それでも毎年この分量なんだから恐ろしい……。
 ――あ、れ? ここ、本来なら羨ましい、だよな?
 ちょっと自分の感覚がおかしくなってきている気がする……。大丈夫か、俺?
「なんだかすごい子ねぇ……?」
 加藤さんは、「ごめんなさい……」と謝りながら包みを開けては差出人の名前を探す。そうして、一つひとつを丁寧に記帳していくのだ。
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