光のもとでⅠ
おかしいな、秋斗先輩とも何度かデートしてるんだけど……。おかしいおかしいおかしい……。
「相変わらずシスコン抜けないねぇ……。ま、俺もだけどさ」
あれはつい先日のこと。
退院した翌日、学校まで歩いていく道すがらに聞いた言葉。
翠葉が学校を楽しいと言った。桜が見れることが楽しみだと言った。来年もこの桜の花を……と、ただそれだけなのにひどく悲しくて、それと同じくらい嬉しかった。
嬉しくて切なくて、胸に針がチクって刺さるような痛みがあった。
翠葉が兄離れしなくちゃいけないのも、家族離れしなくちゃいけないのもわかっていて、もちろん俺が翠葉から離れなくちゃいけないことも理解していて――けれど、いざ翠葉が自分で歩き始めた姿を見たとき、確かに切ない思いに痛みが生じた。
「俺、大丈夫かな?」
ふいに出た言葉。
それに唯が即答した。
「相変わらずシスコン抜けないねぇ……。ま、俺もだけどさ」
あれはつい先日のこと。
退院した翌日、学校まで歩いていく道すがらに聞いた言葉。
翠葉が学校を楽しいと言った。桜が見れることが楽しみだと言った。来年もこの桜の花を……と、ただそれだけなのにひどく悲しくて、それと同じくらい嬉しかった。
嬉しくて切なくて、胸に針がチクって刺さるような痛みがあった。
翠葉が兄離れしなくちゃいけないのも、家族離れしなくちゃいけないのもわかっていて、もちろん俺が翠葉から離れなくちゃいけないことも理解していて――けれど、いざ翠葉が自分で歩き始めた姿を見たとき、確かに切ない思いに痛みが生じた。
「俺、大丈夫かな?」
ふいに出た言葉。
それに唯が即答した。