光のもとでⅠ
「それ、すごい義弟いびりだけど……悪い、俺も唯に一票。っていうか、俺は余裕そうに取り繕ってるから、唯はがんばって挑戦状叩きつけてよ。よろしく」
 兄ふたりが反対したら翠葉は悲しむだろう。それに、兄ふたりが義弟いびりしてるなんて体裁も悪い。だから、そんな役は唯に任せよう。
「あんちゃんそういうところうまいよね?」
「どうかな? いいじゃん、適任がいるならその人に任せる方向で。どんなことも適材適所だよ」
 言うと、唯もにっと笑う。
「まぁね。俺もその言葉は好きかな」
 翠葉は俺たちがこんな話をしてるとも知らずにバスタイムを堪能している。
 翠葉、今年お前はどんなバレンタインを過ごす?
 とても楽しみでどこか切ない。
 妹に好きな人ができて付き合うことになる――自然な流れなのに、胸がチクリと痛む。
 そうだ、この傷は桃華に癒してもらおう――。
< 9,905 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop