光のもとでⅠ
「……いつか見たいな」
「ダメ」
「どうして?」
「面白がる人間が多すぎるから」
「残念……」
「そこっ、真面目に残念がらないようにっ」

 外は雪が降ってきそうな空模様。底冷えする寒さとはこういうことをいうのだろう。
 手袋やマフラーをしていても、寒さがしんしんと肌に刺さる感じ。
「今日は一段と寒いね」
「寒い寒いっ。とっととホテルに戻って荷物置いたらあったかいもの飲んでいこう」
「うん」
 私たちは息が上がらない程度に急ぎ足でホテルへ戻った。
 荷物が多すぎる、という理由から表からは入らず、従業員通用口を使う。
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