光のもとでⅠ
「はい、質問。……それ、どうやって配んの?」
「――今から考える」
「ぅおおおいっ。ちょぉっと待てっ」
 唯兄は人の邪魔にならないように、通路の脇に止まると携帯をかけ始めた。
「クゥ? 今どこ? スタジオ? 明後日の予定は? ……じゃ、明後日は朝学校に行くのね? あのさ、悪いんだけど、朝、昇降口でリィを待っててくんないかな? 漏れなくいいことあるから。――それは秘密。秘密になってない気もするけど、じゃぁねっ」
 ピッ、と切って間を開けずに次の電話をかける。
「お疲れ様です、若槻です。あの、ものは相談なんですが……。明後日の朝、誰でもかまわないのでマンションのエントランスに待機していていただけませんか? ――そうですよね、近接警護じゃないですからね。――そこをなんとかっ! ――お手数おかけしますがよろしくお願いいたします」
 ピッ、と切って「一丁あがり」と携帯をしまった。
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