光のもとでⅠ
「私、お姉さん――セリカさんと病院で会ったことがあるの」
 その言葉に唯兄がゴクリと唾を飲み込んだ。
「でも、会ったとはいってもほんの数回。検査入院中に一度と、通院時に二回だったと思う」
「……話はした?」
「うん。お姉さんはハーブやお花の花言葉をたくさん知っていて、いつも中庭に咲くお花の名前や花言葉を教えてもらってた。それとね、いつもとても悲しそうだった。ユイちゃんが来ないのって……」
 少し躊躇ったけれど、お姉さんの願掛けの話もした。
 そして、しばらくしてから看護師さん伝手でオルゴールを託されたことも。
「セリは何を思ってリィに託したんだろうな……。なんで、俺じゃなくてリィだったんだろう」
 頭を抱えて考え込む唯兄に、なんと声をかけたらいいのかがわからなかった。
 実際、私もどうして託されたのかなんて知らされていないのだ。
 なんで病室に残さず、私に託すような行動を取ったのか。
 病室に残しておけば、そのまま唯兄の手に渡っただろうに……。
 ……唯兄に渡したくなかったとか?
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