光のもとでⅠ
「わっ、そんな、頭上げてくださいっ。あの、いつものお礼なので……。あの、頭下げられると困ってしまうのでっ」
 わたわたしていると、四人とも頭を上げてくれた。
「真白様がお待ちですので、私たちはこちらで失礼いたします」
 車がゆるりと走り出す。
「あの……朗元さんにもお会いしたいのですが、庵にいらっしゃるでしょうか?」
「申し訳ございません、ろうげん様とは……」
「あっ、会長さんです。ツカサたちのおじいさん」
 ようやく人物特定ができたようで、
「それでは先に庵へ参りましょう」
 庵の前で車が停まり、自分で降りようとする前にドアが外から開けられた。
「私たちはこちらでお待ちしております」
「ありがとうございます」
 少しドキドキしながら庵の入り口をノックする。と、中から黒服の人が出てきた。
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