光のもとでⅠ
確かに私と唯兄は絶対に知り合うはずのないような関係だ。
秋斗さんが唯兄をスカウトしたのも偶然だし、私が静さんに写真提供をすることになったのも偶然。
偶然が重なって今がある。
「この蓋を開けてメッセージが入ってたらどうする?」
……蓋を開いたときに自分が予想しないものが入っていたら?
……それは少し構えてしまうかもしれない。
「でも、唯兄? 私、あのオルゴールを何度も開けたけれど、トルコ石の鍵しか入ってなかったよ?」
そう、私はオルゴールの曲を聞きたくて、何度も開けたのだ。けれど、中には赤いビロードの布と鍵しか入っていなかった。
「あのオルゴールにはカラクリがあるんだ。底板が外れるようになってる。そこは開けるときはふたつの鍵が必要だけど、閉めるときはただ閉めればいいだけ。だから、セリが入院していたときはいつも開けた状態にしてあった。閉めると鳴らなくなるオルゴール。……いつ、鍵のついた部分が閉められたのか、俺にはわからないんだ……」
鍵を開けたら、お手紙があるかもしれないということ?
「俺とセリは、あのオルゴールをポスト代わりにして交換日記ならぬ、手紙交換をしてたんだ。それは鍵がなくても開けられるスペース。リィが鍵が入ってたって言った箱の部分。そこには何もなかったみたいだけど、もし、鍵を開けた中に手紙が入ってたら……って思うと、箱にすら触れない」
唯兄が小さく震えていた。
秋斗さんが唯兄をスカウトしたのも偶然だし、私が静さんに写真提供をすることになったのも偶然。
偶然が重なって今がある。
「この蓋を開けてメッセージが入ってたらどうする?」
……蓋を開いたときに自分が予想しないものが入っていたら?
……それは少し構えてしまうかもしれない。
「でも、唯兄? 私、あのオルゴールを何度も開けたけれど、トルコ石の鍵しか入ってなかったよ?」
そう、私はオルゴールの曲を聞きたくて、何度も開けたのだ。けれど、中には赤いビロードの布と鍵しか入っていなかった。
「あのオルゴールにはカラクリがあるんだ。底板が外れるようになってる。そこは開けるときはふたつの鍵が必要だけど、閉めるときはただ閉めればいいだけ。だから、セリが入院していたときはいつも開けた状態にしてあった。閉めると鳴らなくなるオルゴール。……いつ、鍵のついた部分が閉められたのか、俺にはわからないんだ……」
鍵を開けたら、お手紙があるかもしれないということ?
「俺とセリは、あのオルゴールをポスト代わりにして交換日記ならぬ、手紙交換をしてたんだ。それは鍵がなくても開けられるスペース。リィが鍵が入ってたって言った箱の部分。そこには何もなかったみたいだけど、もし、鍵を開けた中に手紙が入ってたら……って思うと、箱にすら触れない」
唯兄が小さく震えていた。