光のもとでⅠ
「あら、もう行くの?」
「はい。このあと真白さんのところに寄って、そのあとは病院。その次はホテルなので」
「……フルコースね」
「はい、フルコースです」
 私はペコリとお辞儀をして庵を出た。

 また同じ車に乗り、ツカサの家に向かって車が走りだす。
「あの……もしかしたら少し時間がかかるかもしれません」
 私が行くという連絡をしてあるのならば、真白さんがお茶の用意をしていないわけがない。そして、私はそれを断ることはできないだろう。
「かまいません。ごゆっくりなさってきてください」
 言われて私が車から降りると、ふわりと風が吹き、家のドアが開いた。玄関に姿を見せたのは真白さん。
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