光のもとでⅠ
「ハナちゃん、久しぶり」
 二本足で立ち上がり、抱っこを要求される。
 催促されるままに抱え上げると口をペロリと舐められた。
「でも、ごめんね。ハナちゃんには何も持ってきてないの」
 頭や身体を撫でてあげていると、
「翠葉ちゃん、これ、ハナ用のクッキーなの。あげてみる?」
「えっ!? わんちゃん用のクッキーがあるんですか?」
「あるのよ」
 真白さんはにこりと笑って、小さな卵ボーロを三つくれた。
「ハナちゃん、おやつだって」
 言いながら一粒ずつ小さな口に近づける。と、とても嬉しそうに咀嚼して食べた。
「かわいい~……」
 思わず悶えたくなるくらいかわいい仕草を見せられる。
 すべて食べ終わると、ハナちゃんは真白さんが座る横へ行き、ちょこんとソファの上に座った。
< 9,983 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop