光のもとでⅠ
ベッドから下り唯兄の隣に座ると、唯兄の左手を右手でぎゅっと握った。
「唯兄……大丈夫だよ。お姉さんはユイちゃんが大好きだったもの。すごく大切な人って言ってたもの。たとえ手紙が入っていたとしても、唯兄が傷つくような言葉は並んでいないと思う。それにね、時間はたくさんあるよ。明日も明後日も明々後日も。一週間後も一ヵ月後も一年後も。……なんで私に託されたのかはわからない。でも、唯兄が言ったとおり、壊したくなかったんだと思う。とても大切なオルゴールだったのだと思う。だってね、傷は二ヵ所にしかついていなかったの」
唯兄は目を丸くした。
「くっ、あははははは! なんで傷の数まで知ってるかな」
突然笑い出した唯兄にびっくりする。
「ひとつは俺が落としたときにつけたキズ。もうひとつも俺が鍵でつけちゃったキズ。セリにすっげー怒られた」
傷だらけの鍵を見てなんとなくわかってはいたけれど、物に思い入れがあっても、傷とかはあまり気にしない人なのだろう。
「そのキズが増えてないってことは、リィも大切に持っててくれたってことだよね」
「……しばらくはデスクの上に置いていたの。でも、ホコリがかぶるのが気になってクローゼットの中にある引き出しにしまってた」
「わけのわからない、鳴りもしないオルゴールをずっと持っていてくれてありがとう」
「……私はただ持っていただけだもの……」
「それでも、ありがとうって言わずにはいられないんだ」
唯兄は搾り出すような声でそう言った。
「唯兄……大丈夫だよ。お姉さんはユイちゃんが大好きだったもの。すごく大切な人って言ってたもの。たとえ手紙が入っていたとしても、唯兄が傷つくような言葉は並んでいないと思う。それにね、時間はたくさんあるよ。明日も明後日も明々後日も。一週間後も一ヵ月後も一年後も。……なんで私に託されたのかはわからない。でも、唯兄が言ったとおり、壊したくなかったんだと思う。とても大切なオルゴールだったのだと思う。だってね、傷は二ヵ所にしかついていなかったの」
唯兄は目を丸くした。
「くっ、あははははは! なんで傷の数まで知ってるかな」
突然笑い出した唯兄にびっくりする。
「ひとつは俺が落としたときにつけたキズ。もうひとつも俺が鍵でつけちゃったキズ。セリにすっげー怒られた」
傷だらけの鍵を見てなんとなくわかってはいたけれど、物に思い入れがあっても、傷とかはあまり気にしない人なのだろう。
「そのキズが増えてないってことは、リィも大切に持っててくれたってことだよね」
「……しばらくはデスクの上に置いていたの。でも、ホコリがかぶるのが気になってクローゼットの中にある引き出しにしまってた」
「わけのわからない、鳴りもしないオルゴールをずっと持っていてくれてありがとう」
「……私はただ持っていただけだもの……」
「それでも、ありがとうって言わずにはいられないんだ」
唯兄は搾り出すような声でそう言った。