光のもとでⅠ
「ぐは……それ、バレンタインってイベントどこいったって話じゃない?」
「……そうなの?」
 すでに自分の手元を離れてしまっただけに、改めようがない。
「リイ、いい? バレンタインっていうのは、女の子が好きな男の子に告白できるイベントの日。だから、好きだから手作りのお菓子を作ったり、編み物プレゼントしたりするの。スペシャルな日っ。で、お世話になった人に贈ったりするのは、儀礼的。職場でいうところの恒例行事っていうか、義理チョコの類。友チョコはたいてい女の子同士でするもので、稀に男子も含まれたりするけれど、あくまでも友達に贈るもの。通常はこれらにランクをつけて、どこに重きを置くかを考えて行動する。今回のリィは司っちを並列に扱いすぎ。どこにも特別感がないじゃん。編み物だって俺たちにプレゼントするのと同じだし」
 そこまで言われて色々と理解はしたけれど、私はあえてもう一度反論を試みた。
「でもね、ほかの人のは機械を頼った部分もあるけれど、ツカサと家族の分は木ベラや泡だて器を使って自分の力で作ったんだよ?」
「……わかりづれぇぇぇ……。そういう場合はラッピングを豪華にするとか見た目でわかる変化をつけようよ」
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