生まれた愛




俺は無表情で俯いていた




「ねえ空」



そんな俺を真っ直ぐ見て千尋は俺を呼んだ




「ん?」



「空が一緒に居たいとか一緒に暮らそうって言ってくれたのすごく嬉しかったよ
だから本当は空と一緒に居たいけど
私の両親さ、元々広島で働いてたから
そこの職場に戻りたいんだってさ
私も一人っ子だし置いてかれるのは絶対やだし、両親も置いてくつもりないって言ってくれたから」




俺が聞けずにいた事情を千尋は教えてくれた



辛い話をしてくれる千尋の顔は少し引きずっていたが


俺の手を取って千尋は言った




「だからこそ、昨日言ってくれたこととか
守ってくれるって言ってくれたりすごく嬉しかったんだけど
やっぱ今は翔が好きだから、どこかで諦めたくないから、空の言ってくれたことが全部申し訳なくなるんだよね
翔も別れるきっかけを作ろうとして私が空をまだ好きだって言ってたけど
昔はそうだったけど、今は絶対に違う」



「……そーだよな」



「それにね、」


千尋はまだ続ける



「私、空を好きになってよかった
昨日、よーく考えて思い返してみれば
小さい時の思い出ってほとんど空と一緒だったんだよね」




小さい頃の話…?







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