生まれた愛


◎空side◎



俺はトボトボと歩く





千尋は怒って教室に戻っていったし


俺はマジでどうすればいいんだ…








教室に戻ると



背中の方から声がする



「ふっふっふっふー
くらえ空豆!」




怪しい声とムカつく呼び方で呼んでくるあいつがいた




そう



結衣だ



「うわー!!つめた!」



背中に当ててきたのは水鉄砲



おいおいいくら初夏でもつめてーよバカヤロー!



勢いよく俺が振り向くと



「まずい!気付かれた!
にっげろーー!」



「待て!」


俺は結衣の制服の襟を掴んだ



「はい。私が悪かったです許してください」


「お前は朝からなんなんだ?」




テンション高く絡んでくれるのはいいけど



ちょっと気持ち的にブルーだから





悪気のない結衣には八つ当たりとかしないけど




ちょっとついてけないな




「いいじゃんかー!
百均に売ってたんだよこれ」


「知るか!捨てろ!」


「ほっ!」



結衣の水鉄砲は俺の顔面を濡らした



「うああー!バカ!マジでそれはないぞ結衣!」



俺は結衣の制服の襟を離し顔を拭く


その間に結衣は逃げて



「はっはっは!顔が濡れて力が出ないか?空豆!」


「……コロス」


俺は結衣を追いかけた



「に、逃げろー!」



結衣も走ったが元陸上部の俺に敵うわけもなく



俺はまた結衣の制服の襟を掴んだ



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