生まれた愛





頭が一瞬真っ白になる





「……どういうことだ?」



結衣の言葉の理解が出来なかった


戸惑う俺に結衣は優しく声をかけた




「深い理由は聞かないで
でも、中学の頃からこんな空を見るのはあたしも辛かったよ?
千尋のこと好きなんだろうなって気づいてたし
でも翔に千尋取られて毎日浮かない顔して
ずーーっと見てたけど言わなかった
言えなかった…」




なんで結衣がずっと俺を見てたんだ?



その深い理由がわからずにいる



とりあえず離れてもらうことに



「めっちゃ急だなどうしたんだよ結衣」



いつものようにふざけた感じで言うと



結衣はしかめっ面に変わる



「そうやってごまかして
いつもあたしを置いていくじゃん
逃げんなよ!」


結衣に初めて怒られた気がする



何も言い返せなかった




「自分の気持ちに嘘ついてまでいい子ぶってどうすんの?
楽な方に進みたいだけじゃん!
仲良く友達やってたけど
翔と千尋が別れた瞬間吹っ切れたように千尋千尋って
あんたが千尋を守るんじゃなくて
守られたい人を千尋が決めるんでしょ!?
自分の考えた事が通らなかったからって拗ねていじけて、
じゃあ千尋が空のわがまま聞けば空はそれで満足なの?
それじゃあ自己満足じゃん、
自分のことしか考えてないってことじゃん」





ズキズキと刺さった言葉だった




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