生まれた愛



結衣が言っていることは全部正しかった



広島に帰る千尋の理由は親の仕事のためであって



今の千尋には俺との昔の思い出しかない



でも千尋は昔の俺に助けられたって言ってる理由は未だにわからない



俺と千尋の間になんかあったっけ?





それでも千尋と一緒にいれないから意味のわからないことを言われて腹が立ったのも事実だ





「空はもっと人の心の変化に気づいた方がいいよ」


結衣は俺の肩をポンっと手を置いて



「ま、あたしはフラれることもなかったけどねー!
空はちゃんと失恋ってもん味わえていい経験になれたんじゃない?」



結衣はそう言って自分の席に着いた



「そういうお前も意味深なこと言って逃げてんじゃないのか?
俺のことどう思ってんの?」



俺はストレートに結衣に聞いた



しかし結衣は動揺することもなく答えた



「ん?めっちゃ好きだよ?
言ったことなかったけど」



ドテーー!!



俺は思わず席から転げ落ちた


「お前な!ノリが軽すぎるんだよ!
重さが伝わってこない!全く!」


「えーー?別に空が千尋のこと好きだって気づいてて言いたくなかったし
それこそ聞かれたら答えようと思いまして」


なんだそれ…



でも結衣の芯は全然ぶれてなかった



今でも慰めてくれるしこうやって叱ったくれているのも結衣だけだ



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